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雨上がりに咲くブラック・ビューティー



雨上がりの庭の奥の木陰で、なにやら怪しげな気配が・・・。
そして、このなんとも言えぬ芳しい香りは・・・。





悪天候にもかかわらず、ドラゴン・アラムが花開きました。



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花はこの世のものとは思えないほど奇怪でありながら、
妖艶な美しさがあり、雨の多い今年は特に艶々と怪しい姿を見せています。

ワインレッドのビロードのマントから、
真っ黒な長い舌が突き出ているさまは、なんともいやはや。。。
これは、いったい神の造形物なのでしょうか、
それとも悪魔の仕業でしょうか。


花が開くと、花粉の交配に必要なハエを呼び寄せるために
腐った肉のような悪臭を放ちます。
私は嗅覚が鋭い方ですが、悪臭はほんの一日ほどのことなので、
我慢できないほどでもありません。
庭の奥に植わっていることもあって、
気が付かないうちにいつの間にか花が終わってしまっていることもあります。

花期が短いので、小旅行から帰って来ると、
すでに朽ち果ててしまっていました。



切れ込みの深い波打つ葉はマーブル模様が入り、
茎にもまだら模様が入りますが、
花が終わる頃にはデレンとなって枯れてしまいます。
葉っぱ好きの私には、この奇妙な葉っぱもなかなか魅力的です。

秋には実が朱色に熟します。
根に毒がありますが、処理を施して毒性を抜いたスターチ(Arum Arrowroot)は、
飢饉の時などに小麦粉の代わりに食用にしたようです。
日本のヒガンバナの話と似ていますね。

ギリシャ、クレタ島から地中海東部、
バルカンからトルコ南西部に掛けてが自生地のようですが、
エキゾチックな見かけによらず、
ここイギリスでも南部では十分に冬越しをします。
自生地では春に花を咲かせるようですが、
イギリスでは普通6月から7月上旬頃に開花します。
自生地ではかなり巨大なプランツのようですが、
ここではそんなに驚くようなサイズにはならないようです。





学名: Dracunculus vulgaris
英名: Voodoo Lily、Dragon Lily、Dragon Arum、
    Dragonwort、 Stink Lily、Black Arum、
    Black Dragon などなど


[追記]

1.「花」と書きましたが、詳しく言うと仏炎苞と肉穂花序です。

2.下のサイトに詳しい植物図が載っていますので、参考に。
(サイトのイラストはコピーライトで保護されているために、拝借できませんので、
リンクを張っておきます。)



by lapisland2 | 2012-07-18 18:13 | Bulb/Corm/Tuber/Rhiz