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5月のマロニエ



5月に入り、冬の気温からいきなり27℃の夏日になったイギリスでしたが、
翌日は0℃に下がるような、相変わらずの激しい変化を繰り返しながらも、
春から初夏へと季節は移りつつあります。
そして、木々の緑は日を追うごとに少しずつその色を深めています。

近くの町や村に買い物やランチに出る度にいくつか雑木林を通り抜けますが、
その新緑の美しさと、移り変わる微妙な変化を、
書く才能も撮る能力も持ち合わせていない私は、
ただただ目に染みるその色と姿を心に焼き付けようと、見つめるばかりです。



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さて、ヨーロッパでよく見かけるマロニエ(西洋トチノキ)の木ですが、
ここ英国でも公園や街角など、どこにでもあるありふれた樹木です。
大きくなると20m~30mにもなり、
雄大な姿は、親しみと同時に畏敬の念も抱かされます。
こちらではホースチェスナッツと呼ばれ、
秋に生る実は昔から子供たちの遊びに使われ親しまれています。

遊び方→■


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この木が最も美しいのは5月で、
手の平の形の葉を広げ始めた頃に白い花を付けますが、
大きな木一面に白い燭台が灯ったようになり、とても印象的な景色となります。



ところが、何年か前から、この木に異変が起こっています。

それについてはまた改めて書くつもりでいますが、
今のところは、5月の美しい姿をしっかりと見届けたいと思います。


(全体の写真を撮りたいのですが、
なかなかうまくいきませんので、またいつか。)




学名: Aesculus hippocastanum
英名: Horse chestnut
和名: セイヨウトチノキ(西洋栃の木)


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by lapisland2 | 2016-05-19 03:11 | 散歩道の植物たち | Trackback | Comments(2)

Emmetts Gardenのブルーベルを訪ねて 



これは、2010年春に Emmetts Gardenのイングリッシュ・ブルーベルを訪ねた時のものですが、
平らな雑木林に生えることが多いブルーベルが、ここではかなり急勾配の丘に広がっているのが面白いのではないかしらと思い、
再掲載しておくことにします。

再掲載の理由は他にもあるのですが、それはまたのちほど。


しばし、ブルーベルの花をお楽しみ下さいね。




4月22日、ケント州にあるナショナルトラストの Emmetts Gardenに行って来ました。
ここは19世紀の後半にFrederick Lubbockによって作られた庭園ですが、
彼はWilliam Robinsonの友人だったのでその影響が強く、
中国やヒマラヤなどの珍しい樹木やプランツなどもたくさん集められています。

今の時期はブルーベルでも有名なのですが、
まだ少し早いだろうとあまり期待しないで出かけたのに、
お天気に恵まれて、すばらしい光景に出会うことができて、ラッキーでした。
残念ながら、実際に目で見るその美しさ(や香り)は写真ではとても表わせませんが、
「ブルーベルのさざなみ」もしくは「青い海原」のお裾分けです。



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庭園のある場所は
この写真から想像できるようにかなりの高台になっています。
日本でなら、里山とでも言えるような場所ですね 。



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ブルーベルの広がっている場所は、崖に面した急斜面で、
その間に複数の小道が作られていて、
上からも下からもブルーベルが見えるようになっています。



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見渡す限りブルーベルの青い海原が続いていて、




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woodland全体がやさしく甘い香りに包まれています。



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近寄って見ると、
そり返った花弁がとても可憐で、妖精の花と言われるのも改めて納得できますよね♪



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ブルーベルのさざなみの中に所々、伐採したログで作ったこんなベンチが置かれています。
ブルーベルに取り囲まれて、そのやさしい香りに包まれて、
この人たちも幸せなひと時を楽しんでいるのでしょうね。



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大きな日本のモミジの樹とブルーベルが珍しい組み合わせになっています。




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前景のブルーベルの花の向こうは急斜面になっていて、
中景に霞んで見えるブルーの色はかなり深い谷底なのですが、
残念ながら写真には遠近が全く出てくれませんね。




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たま~にこんな白花が混じっています。
私が見つけたのはこの広い場所でたったの2輪だけ。



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ブルーベルの海原に所々白い波が立って・・・。
でも、お互いに邪魔せずに住み分けているようです。



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白い波はワイルドガーリック(Allium ursinum)。
こちらではブルーベルと前後する時期に、葉が広がって花をつけます。
小川のほとりやウッドランドの湿地のような場所がこの白い花で埋め尽くされます。
(匂いを別にしたら、この白い群生もとても綺麗ですよ♪)



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フタリシズカのようなチャラン属のプランツもブルーベルと住み分けていました。

(チャランって、調べてみたら原産は中国なんですね。
英国っていろんな所からやって来た植物が帰化を通り越して、
元からあったような大きな顔をして生えている、そんな不思議な国でもあります。)



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静かなwoodlandの中に聞こえてくるのは鳥たちのさえずりだけと言う至福のひと時でした。
そして、香りがなんとも言えないのです。
さわやかな甘さの本当にやさしい香りですよ。




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ここはたくさんの人が訪れるのに、柵も仕切りの綱もありませんでした。
唯一この場所にのみ柵がありましたが、これはブルーベルを守るためというよりは、
この辺りが急勾配の坂になっているため、人が摑まるための柵のようでした。



香りをお届けできないのが残念ですけれど、
ほんのちょっぴりブルーベルの森にいる雰囲気を味わって頂けたでしょうか。


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by lapisland2 | 2015-05-21 00:16 | Garden Visit + | Trackback | Comments(2)

イングリッシュ・ブルーベルとスパニッシュ・ブルーベルの違いについて





雑木林ではブナの樹が葉を広げ始め、
ブルーベルの花も盛りを過ぎて、代わりにシダが葉っぱを広げつつあります。




2007年頃に、日本の某有名園芸サイト(有名無名の超熱狂的園芸家たちの集る掲示板)に、
イングリッシュブルーベルについて書いたことがありましたが、
その時に日本ではこの花のことがどの程度知られているのかしらとネットを検索してみたら、
これがまさにオドロキモモノキサンショノキでした。

日本で栽培されているブルーベルのほぼすべてがスパニッシュブルーベルかそのハイブリッドで、
ネット上ではそのスパニッシュあるいはハイブリッドを「イングリッシュブルーベル」と記載しているのです。
正しい記載のあったのは、唯一球根の趣味専門家のサイトに短い記述があったのみでした。
(恐らく、ウィキペディアの『イングリッシュブルーベル』の日本語版もなかったように思います。)


そんなわけで、
『日本のサイトで「イングリッシュ・ブルーベル」として記載されているものが、
殆どすべて明らかにスパニッシュかハイブリッドなので、
本当のイングリッシュ・ブルーベルについて知っていただきたいと思って、書いています。』
と言うような書き出しで、以下のような詳細情報を入れたのでした。




(前文略)
ところで、「ブルーベル」と一言で言っていますが、大きく分けると
イングリッシュ・ブルーベル( Hyacinthoides non-scripta) とスパニッシュ・ブルーベル( H.hispanica) 、
そしてこの二つを掛け合わせたハイブリッド(H. x massartiana)があるのをご存知でしょうか。

non-scripta「書かれていない」という変な種小名は、ヒヤシンスとの区別のためにつけられたのだとか。
(皆様ご存知のヒヤシンスの伝説にあるAiAiと言う文字が、
ブルーベルの花には「書かれていない」と言う意味のようですね)



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                        (イングリッシュ・ブルーベル)


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              (イングリッシュ・ブルーベル:乳白色の葯が見えますね)

イングリッシュ・ブルーベルの花は、筒状で、先端はくるりと反り返っています。
葯は乳白色で、花の殆どが茎の片方についているので、下垂した状態になります。
葉はスパニッシュと比べるとかなり細いです。
花には甘い香り(ヒヤシンスをもっとデリケートにしたような香り)があり、
群生している場所では一面に強い芳香が漂っています。





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                     (スパニッシュ・ブルーベル)

スパニッシュ・ブルーベルの花は、筒と言うよりはベル型で、
先端は少しカールしている程度です。
葯の色は、咲き初めの頃は青色をしています。
花は茎の周り全体に付き、花茎は直立します。
(咲き切ると花の重みで垂れ下がることもありますが。)
葉はかなり広めで、香りは殆どありません。


イングリッシュ・ブルーベルの自生地は、イギリスの他に
ベルギー、フランス、オランダ、アイルランド、スペイン、ポルトガルですが、
その70%はイギリスの地に生えています。
イギリスではブルーベルの群生によって、森が Ancient woodland かどうかを特定することがあるくらい
重要な指標生物(ancient woodland indicator species)だとも言えます。

ところが、イギリスの庭(都会を取り巻く周辺)で見かけるブルーベルは、
殆どがスパニッシュブルーベルかハイブリッドで、
イギリス人でさえもその区別を知らない人がけっこういるようです。
スパニッシュの方が、見た目が派手で花も大きく、繁殖力も旺盛で、イングリッシュとの自然交配が進み、
イングリッシュ・ブルーベルは法律で保護されてはいますが、
純粋なイングリッシュは減少の一途を辿っているようです。
私の庭でも、植えてもいないのにそこここからスパニッシュが顔を出し、
見つけ次第抜きまくっているのですが、
球根が深く潜っていて抜き切れず翌春には数を増やして出現してきます。

うちの周辺は、車で走ると行けども行けども雑木林の中はブルーの海という景色が続きますので、
そんなに緊迫しているとも思えないのですが、
専門家の中には、地方によってはもうすでに戦いは済んだと、
イングリッシュブルーベルの完全敗北を宣言する人もいるようです。
RHSも、田舎ではスパニッシュやハイブリッドを庭に植えないようにと忠告していますし、
ナーサリーにラベルの表示をはっきりさせるよう指示しているとのことです。

もう一つ、イングリッシュ・ブルーベルが激減している理由は、
woodland(主に落葉樹で成り立っています。いわば日本の里山みたいなもの)を
コニファーの単一植林に変えてしまったことや、
落葉樹のcoppicing(コピシング)をしなくなった事もあるようです。

イングリッシュ・ブルーベルは Wildlife and Countryside Act 1981(野生生物及び田園地帯保護法)と
言う法律で保護されている種になります。
土地所有者が所有地から球根を掘り出して売買する事は禁止されていて、
野生の球根を自生地から採取することも犯罪になります。
この法律は1998年に更に強化され、野生の球根または種子のいかなる商取引も違法となっています。
(後文略)

[新しく書き込みのための文を作成するつもりでいましたが、
    あえてそのまま再掲載することにします。]


上の書き込みをしたあと、掲示板に集う人たちのさまざまなコメントで、
2007年の時点では、日本ではホンモノのイングリッシュの球根が手に入らないこと、
「イングリッシュ」と明記のある球根を入手して植えてもスパニッシュが出てくること、
詳しい情報がないことなどが明らかになりました。




それから約8年が過ぎて、改めてブルーベルのことを検索してみると、
どうやらイングリッシュ・ブルーベルとスパニッシュ・ブルーベルの違いというのは
だんだん認識されつつあるように思われます。
(でも、まだスパニッシュの写真を貼って、堂々とイングリッシュと明記しているブログも多いようです。)

また、ここ数年英国からイングリッシュ・ブルーベルの球根を輸入して販売するナーサリーも
出てきているようですが、
すでにスパニッシュが氾濫している日本に、イングリッシュ・ブルーベルを導入したところで、
ハイブリッド化してしまうことは間違いないのにと余計な心配をしてしまいます。

まあ、自生地ではない日本でいくらスパニッシュやハイブリッドが増えようといっこうに構わないわけですが、
ここ英国においては、滅亡への道をひたすら進みつつある自生種のイングリッシュ・ブルーベルを守るために、
庭にスパニッシュを植えるのだけは自重したいものです。

とは言うものの、スパニッシュの蔓延る勢いは恐るべきもので、
私の住む周辺でも、この8年間で民家の周辺はすでにスパ+ハイに征服され、
雑木林の周辺にまで占領地を拡大しつつあります。
しかもハイブリッド化すると、限りなくイングリッシュに近いものまで出現するので、
見極めるには DNAを調べないことにはわからないものまであるとのことです。

約300年前にイギリスに持ち込まれたスパニッシュ・ブルーベルは、
ガーデナーたちの無神経な手によって、次第にその領域を広げ、
今では英国中のブルーベルの森の6分の1にはスパニッシュが存在するまでになっています。
今の状態で行くと、50年以内に自生種のブルーベルは姿を消してしまうことになるようです。



8年前の記述の中に、
>落葉樹のcoppicing(コピシング)をしなくなった事もあるようです。

と書きましたが、
もう少し説明を付け加えると、
コピシングとは、樹木の高さを調整するために、ある程度の高さの所で毎年伐採を続けることです。
そうすることで、新しい枝の更新を図ります。
かつてはコピシングした枝で家具や日常用具を作ったり、炭焼きに利用したので、
雑木林は人々の生活になくてはならないものだったのです。
日本でも、一昔前に養蚕のために桑の木を毎年伐採していたのと似ていますね。
そして、雑木林や里山が時代の流れと共に廃れてしまったのは、いずれの国でも同じことです。

かつては、伐採後の林床には日がよく当たり、ブルーベルの花が咲くのに適していました。
そして、花が咲き終わる頃になると、入れ替わりに樹木の若葉が広がり始め、ブルーベルは休眠期に入ります。
自然はうまく調和し合い、人々の営みもブルーベルを守る役割を果たしていたのですね。

また、コニファーなどの常緑樹の植林では、林床にまったく日が射さなくなり、
ブルーベルは生き延びることができなくなってしまいます。



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私の住む周辺の雑木林は殆どが私有地ですが、
土地の所有者たちは木々の伐採をして日当たりを良くしたり、
下草刈りをしてブルーベルを守っていると聞いてきます。
ブルーベルの海になるには何世紀もかかるそうですので、
やはり里山同様、人がきちんと世話をしていかないといけないようですね。




とは言うものの、そういう努力も時すでに遅しなのかもしれません。

今年(2015年)発行のオックスフォード・ジュニア辞典では、
すでに「キンポウゲ」や「ドングリ」と共にこの花の名は姿を消してしまいました。
代わりに登場したのは、 「ブロードバンド」 や 「切り取りと貼り付け」などのコンピューター用語です。

残念ながら、「ことば」だけでなく、
英国の雑木林からイングリッシュ・ブルーベルそのものが姿を消すのも、
もう時間の問題のようです。
次世代の人たちは、特殊な眼鏡を掛けて、
コンピューターの作り出す架空のブルーベルの森を手探りで歩きながら、
人工的に作り出されたブルーベルの香りを楽しむことになるのでしょうか。




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by lapisland2 | 2015-05-18 06:54 | Bulb/Corm/Tuber/Rhiz | Trackback | Comments(6)

10年を越してようやく花溢れ咲くアルマンディ






なんともいやはや、今週は火曜・水曜と二日続けていきなり夏日になりました。
水曜日は地中海地方で21℃だったと言うのに、ロンドンではなんと25℃に!
うちの辺りも21℃まで気温が上がって、まさに百花繚乱の季節になりました。

豆桜や彼岸桜はすでに散り、レンギョウや木蓮も盛りを過ぎ、
山桜やワイルドチェリーが満開になっています。
来週には八重桜も咲きそうな勢いです。





暖冬に引き続き、イースター以降の思いがけないいいお天気と気温の上昇で、
数年前の寒さ厳しい冬には殆ど枯れる直前状態にあったクレマティス・アーマンディが
満開になりました。



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植えてからかなり経ちますが、こんなにたくさん花を付けたのは初めてのことで、
庭に出るとヴァニラのような甘い香りが漂ってきます。



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耐寒性がもう一つなので(-5℃くらいまで、)
寒さだけでなく、強風の吹き抜ける拙庭には向かないクレマティスなのですが、
花のためではなく、常緑の葉っぱが魅力で育てています。
(15cmほどの細長い形の葉には皮のような光沢があり、
葉っぱ好きの私にとっては、とてもハンサムなフォリエイジということになります)
でも、厳しい冬を越す頃にはその葉っぱも冷たい風のために見苦しいほど汚くなってしまいます。
二年続きの厳冬のあと傷みがひどく、もう諦めようと思いながら放置していたのですが、
すぐに掘り上げなかったぐうたらガーデニングが幸いをして、
うれしい結果になりました。



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中国中部・西部地方原産の原種クレマティスですが、
ピンクの花を付ける園芸種の 'Apple Blossom'なども出回っています。



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日のよく当たる南または南西向きの場所で、冬の冷たい風を遮るシェルターな場所を選んで植え、
植え付けの時は8~10cmほど深めに植えるようにします。
場所が合えば、10mくらいまで伸びるので、
ロンドンの街中などでは壁一面を覆うように茂っているのを見かけることがあります。



剪定: Group 1

(剪定の必要はありませんが、どうしても剪定をしなければならない時は、花後すぐに。)



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学名: Clematis armandii
英名: Armand clematis
和名: クレマチス・アーマンディ




[追記]
犬には有毒性があるとの事ですので、注意して下さい。


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by lapisland2 | 2015-04-17 21:45 | Climber | Trackback | Comments(0)

冬でもあおあお イタリカム




早春の花が咲き始め、
あちらこちらから宿根草の小さな芽が顔を覗かせている庭ですが、
暗い冬の間もあおあおとした葉を広げて、
楽しませてくれた葉っぱたちをいくつか。



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まずは、以前にもご紹介したことのある Arum italicumですが、
秋から翌年の夏ごろまでヘビ模様の葉っぱが展開しますので、
寂しい冬の庭でちょっと目立つ存在になります。



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二年続きで比較的暖かい冬でしたので、
イタリカムも元気いっぱいでした。


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by lapisland2 | 2015-03-23 07:52 | Bulb/Corm/Tuber/Rhiz | Trackback | Comments(2)

春の訪れを告げる希望の花  ウィンター・アコナイト




啓蟄とともに、イギリス南東部も急に暖かくなって来ました。

昨年10月以来、家から殆ど出ることもなく、
二階の窓から庭を見下ろすだけの毎日が続いていましたが、
ようやく5ヶ月ぶりで庭に出ることができました。

鳥たちのコーラスが高らかに響き渡り、
眩しい光の中で、スノードロップやクロッカス、シクラメン・コウムなどが満開になっています。
その中でも、際立って鮮やかな輝きを見せているのが Eranthis、
こちらではウィンター・アコナイトと呼ばれるキンポウゲ科の小さい花です。



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残念ながら、南東部ではもう花の時期は過ぎつつあるのですが、
一箇所だけ出遅れた花が咲き始めていましたので、急いで写真を撮りました。
時間帯が写真を撮るのにいい時間ではなかったので、
光りの当たり方がスポットライトのようになってしまいましたけれど・・・。



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イギリスの庭で見かけるウィンター・アコナイトは、
たいていがEranthis hyemalisという
バルカン半島、イタリア、南フランスの落葉樹林に自生する種になります。  

日本のセツブンソウの仲間ですが、セツブンソウより少し大きく、
花も葉も艶やかな光沢があります。
(年が明けるとスノードロップに先駆けて真っ先に蕾を付けてくれるので、
私は福寿草を連想してしまいます。)
10cmほどの茎の上に3cmほどの黄色い花を付けますが、
花びらのように見える部分は萼片で、
その萼片を取り巻くように切れ込みの深い苞状葉をつけます。
開花の頃になると根元に根生葉が出てきます。



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自生地の環境から見て、庭でも落葉樹やシュラブの下が最適の植え場所になります。
石灰質の土が最適ではありますが、それほど土を選ばないように思います。
日向でも半日陰でも育ちますが、水はけのよい土に植える必要があります。
スノードロップと同じく、tuber(塊茎)が乾燥するのを嫌うので、
こちらでは 'in the green' と言うのですが、
葉っぱの付いている状態の間(春先)に植えつけるのが
一番よく定着するように思います。
(私の経験では、秋に乾燥したtuberを植えても余りうまく育ちませんでした。)


太陽が顔を見せることの少ない英国の冬の庭では、
スノードロップと共に春への希望の光りを与えてくれる花です。




学名: Eranthis hyemalis     AGM
英名: Winter aconite
和名: キバナセツブンソウ (黄花節分草)





[追記]
☆地中海東部原産の Eranthis cilicicaを キバナセツブンソウ、
 そしてこのEranthis hyemalis をオオバナキバナセツブンソウというのですが、
 日本でよく出回っているものはこの二つの交雑種のようですね。

 最新の分類では、この二つは同一種として扱われることになり、
 学名は E. h. Cilicica Groupと表記するのが正しいとのことですので、
 ここでは一応和名は キバナセツブンソウとしておきます。

☆ウィンター・アコナイトのaconiteはAconitum(トリカブト)に含まれる毒のことで、
 ウィンター・アコナイトも有毒植物です。
 


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by lapisland2 | 2015-03-09 05:14 | Bulb/Corm/Tuber/Rhiz | Trackback | Comments(6)

水仙の季節始まる




春分の日も過ぎましたが、こちらは寒の戻りで少し寒い日が続いています。
数日前にはいきなりヒョウやアラレが降りました。

でも、巷では3月上旬のポカポカ陽気で彼岸桜や寒緋桜が満開になり、
マグノリアのぽってりした蕾が今にも開きそうになっています。
昨年の3月は雪が降ったり、氷点下の日が多かったことを思うと、
今年は本当に早く春がやって来ました。



拙庭でも、次々といろんな花が咲き始めています。

その中でも、一番元気をもらえる花は水仙ですよね。
早いものは2月の終わりごろから、
遅いものは5月頃に咲き始める品種まで、
さまざまな水仙がありますが、
取りあえずは、うちの中では第一弾の花を。




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花付きが悪くなって、一昨年株分けをしたサロメは、
今年はたくさん花を付けてくれました。




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Jetfireも、もう満開になっています。




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一番乗りは、風の当たらないところに置いた鉢植えのTete-a-Tete。
庭植えのものより2週間早く、2月下旬から咲き始めました。




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by lapisland2 | 2014-03-24 19:01 | Bulb/Corm/Tuber/Rhiz | Trackback | Comments(2)

春の香り  沈丁花




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関西人の私にとって、春になくてはならない花、それはもちろん沈丁花です。
街にも庭にも沈丁花のなんとも言えないあの芳しい香りが満ちると、
「ああ、春だなぁ」と実感したものです。

ところが、石灰分の多いイギリスの土に沈丁花は合わず、
何回トライしても結局は枯らしてしまいます。
枯れなくても、下葉が落ちたり葉色が冴えなかったり。
でも、春にはどうしても沈丁花の香りがほしくて、今は鉢植えで楽しんでいます。

エリカシアスコンポスト(酸性土)に植えて、水遣りは雨水のみにします。
(イギリス南東部の水道水は石灰がきついので、結局は枯らしてしまうことになりますので。)
耐寒性もそれほどないし、拙庭のような風のきつい庭では
冬は鉢を取り込んだり、フリースを掛けたりする必要があります。

根が弱いプランツなので、本来は植え替えの必要のない地植えがいいのですが、
鉢植えの場合は、植え替えの時は根を傷めないように細心の注意が必要になります。
それと、水はけのいい土を好むので、
地植えの場合でも、日本では少し土を盛り上げた所に植えていたのを思い出して、
鉢植えの場合もそれに近いような状態にしています。



日本の植物は、イギリスの土に合わないものが多いので、
日本では簡単に育つものでも、こちらでは栽培の難しいものがけっこうあります。




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これは葉っぱの縁にクリーム色が少し入る斑入りなので、
花のない時期にも楽しめます。

いきなりやって来た春に、急いでフリースをはずすと
最初の数輪が開き始めていました。
雨と強風の連続だった長い冬を乗り切ってくれたようです♪





学名: Daphne odora 'Aureomarginata'     AGM
英名: Variegated Winter Daphne
和名: フクリンジンチョウゲ(覆輪沈丁花)


[追記]

沈丁花は全草が有毒で、汁にかぶれることもあるので手袋をはめるなどの注意が必要です。


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by lapisland2 | 2014-03-16 21:05 | Shrub | Trackback | Comments(8)

スィートヴァイオレットは早春の香り




3月に入り、少し太陽の輝く日も増えて来ましたが、
朝晩はまだ冷え込みがきつく、
ここ数日も朝は霜で真っ白です。



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そんな中でも、元気いっぱいに花開くスィートヴァイオレット。
こちらでは、野に出れば普通に見かける野草ですが、
庭でもその野生児振りを発揮して、
随分昔に植えた一株が種を飛ばして、階段や敷石の間、両隣の庭にまで領域を増やしています。

寒さにはとても強く、日向では今年も2月中旬には蕾を付けていたようです。
日陰でも元気に育ちますが、日向の方が花付きがよく咲き始めるのも早いようです。
日陰のグランドカバーに持って来いのプランツですが、
増えすぎて困るほどになることも多いので、ご注意を。
花色は白やピンク、淡いバイオレットなどもありますが、
スィートヴァイオレットは、やはりこの普通のスミレ色のが一番だと思います。


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名前の示すように、花は小さいながらとても甘くいい香りがします。
ワーズワースが詠ったのもこのスィートヴァイオレットですね。

A violet by a mossy stone
  Half hidden from the eye!
Fair as a star when only one
  Is shining in the sky.


日本にこのスィートヴァイオレット、つまりニオイスミレがもたらされたのは
明治30年代と言われていますが、
 
「わかやとの菫の花に香はあれと君か菫の花に及ばぬ」

と、正岡子規がニオイスミレを愛でる句を作ったのが明治35年だそうですから、
彼はよほどの花好きか、それともハイカラさんだったのでしょうか。


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学名:Viola odorata
英名:Sweet Violet  English violet
和名:ニオイスミレ





[追記]

花はサラダに散らしたり、ケーキの飾りに使ったり、
砂糖菓子やバイオレット・シロップを作ったり、
葉っぱも若い間に摘んでサラダに加えてマイルドな香りを楽しむことができます。

昔から民間療法としてさまざまな治療に用いられて来たハーブではありますが、
種や根には強い毒性がありますので、素人は手を出さないことですね。




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by lapisland2 | 2014-03-06 00:32 | Perennial | Trackback | Comments(3)

花の咲かないツワブキ



花の少なくなる時期に、元気いっぱいお日さま色の花を付けてくれるツワブキは、
日本ではとても貴重な花ですよね。
両親の庭には大きな株がいくつかあって、12月になると毎年たくさん花を付けていました。
そして、花のない時期にも艶々した葉っぱはとても存在感がありました。
母は石蕗の茎で時々きゃらぶきを作っていたことを思い出します。

日本では、どこにでもあると言ってもいいありふれたプランツなのですが、
こちらイギリスではその姿を見かけることは殆どありません。
たまに見かけるとしたら、それは大きな庭園の中にある大温室の中です。
耐寒性はかなりあると思うのですが、
こちらの冬にはどうやら耐えられないのでしょう。

うちにある2種類のツワブキも、
そういうわけで観葉植物扱いです。


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こちらは夏場は地植えにしていますが、
晩秋になると、鉢に植え替えて室内で冬を過ごします。




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こちらは、もう何年も同じ大きさでちんまりと小さな鉢に収まっていますが、
やはり冬には室内に取り込みます。


そして、どういうわけか、どちらもいまだに花が咲いたことがありません。
葉っぱが好きで育てているので、
花がなくてもいっこうに構わないのではありますが・・・、
はるばる遠い日本から運ばれて、
環境が合わない土地で、箱入り娘に育てられて、
花を付けないことで拒絶の意志反応をしているのでしょうか。。。


 「石蕗の
  日陰は寒し 猫の鼻」          酒井抱一
   




学名:Farfugium japonicum
英名:Leopard plant Green leopard plant Japanese silver leaf。
和名:ツワブキ(石蕗)


白い縁取りのは F. japonicum 'Argenteum'

黄色い星斑入りは F.japonicum 'Aureomaculatum' AGM

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by lapisland2 | 2013-12-11 07:00 | Perennial | Trackback | Comments(4)