不安定だった5月の天候も、ようやく安定の兆しを見せ、
初夏を思わせる青空が覗くようになって来ました。
イギリスの6月は最も美しい月。
1年の殆どが雨かくもりのうっとうしい気候のこの国ですが、
神さまはその代償のように百花繚乱の6月を与えてくれます。
蜂たちは気だるい羽音を立てて花々を巡り、
鳥たちは最後の子育てに忙しく飛び回ります。
つらい季節を耐えてこそ、短い夏を迎える喜びも大きいと言うものです。
庭仕事はいつものように山積みですが、
しばし手を止めて、お茶を楽しみながら庭を愛でることにしましょうか。
( 蕾が金平糖のようで可愛いKalmia latifolia )
☆花木の剪定
◎引き続き、花が咲き終わったら剪定をする
Deutzia、Kolkwitzia、 Philadelphusなどウツギの仲間、
Weigela、Berberisなど
*毎年古い枝の四分の一くらいを剪定する
◎常緑のシュラブの剪定
Viburnum tinus など
◎マグノリア(木蓮)が大きくなりすぎた場合は、今月中に剪定をする
☆引き続き、樹木やシュラブの周りにマルチングをする
☆ハニーサクルやクレマティス、ツルバラのツルを支柱に結わえる
☆突然の豪雨や強風に備えて、背の高いプランツ(デルフィニウムやユリなど)に支柱を立てる
☆キンセンカ、クラーキアなどの1年草を外に直播する
☆来年のために、Cheiranthus(ウォールフラワー)、ワスレナグサ、foxglove(ジギタリス)、
honesty 、Sweet William、 Canterberry bellなどの2年草の種まきをする
(庭が広い場合は直播、狭い場合はモジュールに種まきしてあとで定植)
☆多年草のワイルドフラワーの種まきをする(直播)
☆プリムラの株分け
☆プルモナリアやドロニカムを切り詰めて液肥を与える
☆まだなら、ボーダーに肥料を入れる
☆引き続き、カメリア、アゼリアやシャクナゲ、ヘザーなど酸性土の好きな植物に、
専用の肥料を与える
☆バラも肥料を忘れずに! (potash)
+hoeingとマルチングをする
☆種を採りたい場合を別にして、
こまめに花がら摘みをして、種をつけないようにする
☆夏用のハンギングバスケットやコンテナーの植え付けを終える
◎water-retaining gelと緩効性肥料を土に混ぜる
◎植え付けたあとのピンチングを忘れずに!
(すでに花の咲いている苗を買っても、すべてピンチングしてしまう事!
勇気を出してこれをやっておくと、スタートは遅くても
霜がおりる頃まで長く咲き続けてくれますよ)
*花がら摘みと毎日の水遣りを忘れずに!
☆ダリアやカンナなどの半耐寒性プランツの植え付けを終える
☆6月下旬になったら、春咲き球根植物の枯れた葉を刈り取る
掘り上げて保存するものは、涼しく暗い場所を選ぶ
☆オリエンタルポピーの花が終わったら株元から切る
(切った方が新芽が出易くなるのと、スペースの節約になる)
☆soft cutting の時期ですよ~!
ヒューシャ(フクシア)、パラゴニウム、バーベナ、ハイドレンジア、
ペンステモン、クレマティス、ラベンダー、ピンクス(カーネーションやナデシコの仲間)、
シュラブやハーブなどの挿し木をする
☆定期的に雑草抜きをする
☆芝生に肥料を与え、雑草を取り除く
☆定期的に芝刈りをする
夏の日照りに備えて、短く刈り過ぎないこと!
☆温室やコンサーヴァトリーの日除けと空気の循環に注意する
☆秋植え球根のカタログが6月末頃から配布になるので、
今月中にカタログの請求をしておく
★病害虫に注意!!!
◎雨の多い天候が長く続いたので、
slug & snailの発生が目立ち始めている
クレマティスの新芽、種まきした苗など、
たちまちやられてしまうので注意を怠りなく!
ホスタ(ギボウシ)は特に被害が大きいので、要注意!
(トラップ+ビール、砂、grit、卵の殻、市販のジェル、ブラン、
コーヒー豆のカス、コパーリングやテープ、nematodes などなど)
*オーガニックな方法は、薬品を使うのと違って効き目が強くないので、
いくつかの方法を組み合わせてご自分の所に合う方法を見つけて下さい
●被害がひどくてどうしても薬品を使わなければならない時は、
オーガニックの薬品や毒性の低いものを選ぶ事!!!
(私自身は薬品よりは葉っぱボロボロの方を選びますが)
*Metaldehyde含有の薬品は絶対に使わないように!
こどもたちやペット、S&Sを食べるワイルドライフ(鳥、カエル、ハリネズミなど)に
害があります。
*庭に鳥やカエル、ヘジホグなどが来てくれる環境作りをするのが一番!!!
◎これからの時期、powdery mildew (ウドンコ病)の発生が予想されるので、
マルチングして乾燥を防いだり、隙間がないほど植え込まないように注意が必要!
ウドンコ病が発生してしまったら、葉っぱを根元から切り取って、
肥料を与え、水遣りをしっかりする
◎ルピナスやバラの新芽などはアブラムシに注意する
(手でしごき取ってから、石鹸水をスプレーする)
ただし、テントウムシがいるようなら、石鹸水をかけないこと!
◎ユリに付くlily beetleに注意!
葉の間に隠れていますが、真っ赤な色で見つけやすいので、
見つけ次第手で取って、フミツブースしか方法はない
*lily beetleについての詳細は、『4月の庭仕事』を参照のこと
◎バラのブラックスポット(黒点病)を防ぐ
葉にブラックスポットやさび病、ウドンコ病の兆候をみつけたら、
すぐに切り取って焼き捨てる
落ちた葉っぱもすべて拾って同様にすること!
◎バラに付くsawflyの幼虫に注意!
(ナルコユリやホウチャクソウなども
一晩でスジだけになるので注意!)
幼虫は、イモムシに似ている
幼虫の間に見つけて、おはしでつまんで捨てるのが一番効果あり!
leaf-rolling sawflyは巻き込んだ葉の中に卵を産み付けるので、
葉っぱを切り取る
(幼虫の画像は『5月の庭仕事』参照)
*病害虫については、イギリスと日本とでは違いますので、
そのつもりで読んで下さい。
☆池の管理
◎水辺の植物の植え付けは、今月中に終える
◎水温が上昇する時期なので、
スイレンやホテイアオイなどで、魚たちに日陰を作ってやる
日陰を作ることで、algaeの増えるのを抑えることもできる
◎algaeを取り除く方法
薬品を使わないエコ的な方法としては、barley straw(大麦の藁)を丸めて
ネットの袋に入れたものを池に浮かべる。
*4週間毎に新しいものに取り替える。
(ガーデンセンターなどで既製品も売られているが、
材料が手に入る場合は簡単に作れる)
◎blanketweedを取り除く
太陽光線の強くなるこの時期は、急激に増えるので注意する
◎duckweedを取り除く
◎気温が上昇してくるので、水の補給を忘れずに
◎おたまじゃくしから孵ったカエルの出入り口を確保する
◎ネットを張ってある池は、トンボの孵化に備えて外しておく
◎スイレンに付くwater lily beetleやaphidに注意する
ひどい害がある前に、ホースの水で洗い流す
(水の中に落ちた虫は、魚が食べてくれる)
◎spiral snail(タニシ)は、池の水を綺麗にしてくれるが、
スイレンの葉も食べるので、数をコントロールする
*キャベツの葉を水に浮かべておいて、翌朝チェックすると
タニシがたくさん付いているので、処分するとよい
◎水辺の植物の花後の花がら摘み
(枯れた花や葉が池に落ちないようにする)
☆Wildlife
◎樹木やシュラブにバードフィーダーを吊るしたり、
バードテーブルを置いて、餌が途切れないようにする
*パン屑はおなかが膨れるだけなので、
子育ての時期にはもっと栄養分の多いものを準備する
(ヒマワリなどの種、グレイン、ナッツ類、フルーツ&ベリー、
ドライフルーツ、ベーコン、固くなったチーズ、キャットフード、
フルーツケーキやビスケットなどの残り、ラードやfat ball、mealworm など)
*ピーナツはそのまま与えると喉に詰めるので、
必ずピーナツ用のバードフィーダーに入れる
特にこれからの時期は、雛が生まれるので注意が必要!
*雛がいる間は、乾燥mealwormは水で湿らせて与えるとよい
*リスにピーナツを盗まれるのを防ぐには、
すべて金属でできているバードフィーダーを使用するとよい
プラスチックのは、齧られてしまうので役に立たない
*カタツムリを集めて置いておくと、Song thrushなどの餌になる
*鳥の種類によって好物が違うので、
多種類の餌を用意すると多種類の鳥が来てくれるようになる。
*木の上で餌をとる鳥もいれば、地面で餌をとる鳥もいるので、
地面に置くバードフィーダーも忘れないように。
◎バードフィーダーやバードテーブルの定期的な掃除を忘れないように!
*不潔なバードフィーダーから、鳥の間に感染病が広がることも多い。
*サルモネラやE.coliなどの人への感染を防ぐためにも、
餌やりや掃除のあとには必ず手洗いを決行すること!!!
◎水の補給も忘れずに!
鳥を庭に呼びたいなら、
餌台の設置だけでなく水飲み場兼水浴び場を作ること!
常に水浴び場をきれいにして、新しい水に取り替える
◎庭や畑の一部に、小動物や虫たちのために丸太を積んだり、草を刈らない場所を作る
*庭も畑も雑草1本生えないようにきれいにするのは自然に反することだとみなして、
「ぐうたらガーデナー」に徹することにしよう!
◎鳥や小動物、虫たちの餌や住処になるような樹木、シュラブ、クライマーなどを
選んで植えるようにする
◎ 花もハチやチョウが蜜を集めやすい形の花を選ぶようにする
*派手な園芸種の八重の花を避け、一重のデイジーのような形や筒型の花を選ぶとよい
◎ バラのローズヒップを残しておく
◎英国ではコウモリの数が減っているので、数が増えるように支援する
(コウモリには悪いイメージを持つ人が多いが、
実は蚊やmidgeユスリカなどの数をコントロールしてくれるガーデナーの友である。)
*夕方以降に開花するプランツを植える→蛾を誘引する→コウモリを誘引する
*ガーデンセンターなどでは、コウモリの巣箱(bat box)も購入できるが、
DIYでも簡単に作ることができる
*英国ではコウモリは法律によって保護されている
興味のある人は『5月の庭仕事』にサイトを載せているので参照して下さい
★★畑仕事については菜園日記の方に書き込んでいます。
☆★これはイギリス南東部基準に書いていますので、
日本とは少し違ったところもあります。
お住まいの地域の気候に合わせて、作業を前後して下さい。
内容について質問のある場合はどうぞお尋ね下さい。